職歴欄の基本的な書き方
ここでは履歴書における職歴欄の基本的な書き方について説明します。
職歴欄には職歴の概要が分かるように書く
中途採用における書類選考では、職歴欄が最も重要視される項目です。
職歴は、履歴書のほかに職務経歴書にも書きますが、書類選考ではあくまで履歴書がメインで、職務経歴書はサブ的な役割を果たしているに過ぎません。職務経歴書で詳細な内容を記載するからといって、手を抜かないようにしなければなりません。
したがって、単に、社名と入社・退社の年月日だけでは何も伝わらず、そこでふるい落とされてしまうと、職務経歴書すら読まれない可能性があります。
ここでは、履歴書の職歴欄の書き方について説明します。
履歴書の職歴欄には、以下を満たすように記入しましょう。
- 会社名だけではなく部署名、役職名、仕事内容、実績を記入する
- 履歴書の職歴欄を読むだけで職歴の概要が分かる
- 正社員の短期間勤務であっても漏らさず記入する
- パートやアルバイトでも関連する業務なら記入しても問題ない(勤続1年以上が望ましい)
- できる限り空白を残さず、最後の行まで書く
職歴欄の一般的な書き方の例
以下に職歴欄の書き方の例を(サンプル)示します。
職歴欄の書き方例
- 学歴の最終欄から一行空けて中央に記入します。ただし、行数が足らない場合は、一行空ける必要はありません。
- 職歴欄には正式名称を記入します。株式会社を(株)や、有限会社を(有)などと略してはいけません(履歴書でやってはいけないこと)。勤務先が会社の場合は、「入社」に対して「退職」と書きますが、会社以外の場合は、異なった書き方をします。以下を参考にしてください。
<個人経営の事務所・店舗、病院>
「勤務」に対して「退職」となります。<公務員>
「奉職」に対して「退職」となります。<個人事務所や店舗を自営>
「開始」または「開業」に対して「閉鎖」となります。<会社を経営>
「設立」に対して「解散」または「整理」となります。<家事手伝い>
「従事」に対して「退職」となります。在職中に社名が変更した場合
株式会社○○(現・株式会社△△)入社
入社時の社名を記入し、( )内に新名称を併記します。
「退職」と「退社」のどちらが正しい?
「会社を辞めた」ことを意味する言葉として、「退社」と「退職」のどちらの表現が正しいのでしょうか?「入社」に対する言葉なので「退社」が正しいように思えますが、実はどちらの表現も正しいです。しかし、「退職」が一般的に使われています。退社には「今まで勤めていた会社を辞める」意味と「一日の業務を終了して会社を出る」という2つの意味を持ちます。そのため、履歴書の職歴欄では「退職」を使うことが多くなっています。 - 事業内容、資本金、従業員数、配属部署、担当業務などを記入します。担当業務は、どんなことをしてきたのかが伝わるように、できる限り具体的に書きましょう。
担当業務については応募先の業務内容を意識して記入するとよいでしょう。中途採用では基本的には即戦力が求められます。応募先企業で戦力になる業務経験があれば、少し強調して書くことでアピールになります。
- 異動、昇格、雇用形態の変更(契約社員やアルバイトから正社員に登用など)があった場合は、年月の項目を新たに立てて記入します。
- 退職について簡潔に書きます。ケースに応じて以下のとおり書き分けます。
在職中の場合
同社在職中
一身上の都合により退職予定
退職日が決まっている場合
○月○日退職予定
○月○日まで在職
急募の場合は、いつ入社できるのか分からない在職者は選考で不利になってしまいます。詳細な予定が分からない場合は、出社可能な大まかな予定を記述しておくとよいでしょう。
退職している場合
一身上の都合により退職
倒産やリストラによる会社側の都合による退職の場合
会社都合により退職
履歴書では詳細な理由を書く必要はありません。しかし、倒産の場合は、「倒産により退職」と書いても問題ありません。
派遣社員の場合
派遣期間満了につき退職
契約社員の場合
契約期間満了につき退職
すべて記入したら次の行の右端に「以上」と記入します。
職歴欄を記入するときに注意すること
入社・退職年や社名などを書き間違えない
当然のことですが、履歴書の職歴欄には入社・退職年や会社名などは書き間違えしないよう注意が必要です。書き間違えをしているだけで信用度が落ちてしまいマイナス評価につながります。意図的ではなくても、「注意力や慎重さに欠けているのでは?」や「仕事が雑なのでは?」などとと誤解される可能性もあります。完ぺきに記入した履歴書を準備して、それを見ながら書き写すことをおすすめします。そのうえで、書き終えたら必ず読み返しましょう。
社会人経験が短いときは空白を目立たせない
社会人経験が短いと、どうしても職歴欄に書く内容が少なくなりがちです。空白が目立つ履歴書は評価が低くなってしまいます。職歴欄の空白を目立たなくするためには以下の工夫をするとよいです。
- 「学歴」を小学校卒業から書く。
- 受けた新人研修、会社の事業内容、業務内容のほか社内異動なども漏れなく書く。
- 自己PR欄や志望動機欄、その他のアピール内容を記載する欄が充実している履歴書を選ぶ。
転職が多くてもすべての職歴を記入する
転職回数が多い場合でも、職歴欄には在籍していた企業は在籍期間の長さに関係なくすべて記入する必要があります。試用期間で退職した場合でも記入します。経歴を偽って書き、あとでバレると経歴詐称となり、場合によっては解雇される可能性があります。
転職回数が多い場合は、転職者用の履歴書を使用することをおすすめします。それでも転職が多すぎて書ききれなさそうなときは「○○年〇月 〇〇〇株式会社 入社(〇〇年〇月 退職)」などと1行で書く方法もあります。
派遣社員の場合は派遣元と派遣先の両方を書く
派遣社員として働いていた期間があるときは、登録した派遣会社(派遣元)と派遣先企業の両方を書く必要があります。
同じ派遣元から複数の企業に勤務した場合は、「派遣社員として以下の○社で勤務」と書き、勤務先の社名と業務内容を簡単に記入します。
登録した複数の派遣会社から複数の企業に派遣された場合は、「人材派遣会社○社に登録し、以下の○社で派遣社員として勤務」と書き、勤務先の社名と業務内容を簡単に記入します。
派遣先の企業が多く、行数が足らない場合は、派遣会社の社名や勤務したは記入せず、「人材派遣会社○社に派遣社員として登録し、派遣先にて就業」と書き、さらに「詳細は職務経歴書に記載」と記入します。
退職理由としては、「契約満了につき退職」と書きます。これは契約社員の場合も同様です。
未経験職種に応募するときは関連する業務経験を強調する
転職は即戦力が期待されます。今まで経験してきた業務内容とと応募職種の業務内容との関連性を見つけ、まったくの未経験職種であっても過去の経験が活かせることをアピールするだけでも採用担当者からの印象が大きく変わります。履歴書の職歴欄で少しでも有利になるように記入することが重要です。
未経験職種の志望動機の書き方と例文
未経験職種の志望動機例文レビュー
アルバイト経験も職歴欄に記入する
アルバイト経験が短期の場合は記入する必要はありませんが、勤務1年以上のアルバイトは履歴書の職歴欄に書いてよいということになっています。アルバイトであっても、リーダー役を任されて他のアルバイトをまとめたり、新人教育を行ったりすることもありますので、アピール材料になります。
書き方としては、「○○年 ○○株式会社 入社(アルバイトとして)」の後に、配属部署名、職種名、仕事の概要を記入します。
アルバイト経験が応募先の業務に活かせることができるならば、一年に満たない場合でも積極的に職歴欄に業務内容を書いたほうがよいでしょう。応募先の業務と関係なさそうに見えても、どこか共通点を見つけてアピールすることをおすすめします。
ブランク期間(離職期間)がある場合は正当な理由を書く
ブランク期間(離職期間)があるのに何も触れていないと、採用側から不審に思われ、書類審査の段階で不採用になってしまう可能性があります。そのようなことにならないためには、採用側を納得させるだけの正当な理由を書くことです。
ブランクが健康上の理由の場合、完治しているならばその旨を記載して現在は業務に支障がないことをアピールします。転職活動が長期間に及んでいる場合、正直に書いてしまうと「この人はどこか問題があって採用されないのでは?」と不審がられます。嘘を書くことはできませんが、ブランク期間(離職期間)に少しでもスキルアップにつながることをおこなっていたならば、自己研さんをアピールすることでポジティブな印象を与えることができます。